【小倉駐屯地の特徴について】

森:今回は陸上自衛隊小倉駐屯地の淺田健司令にお話を伺います。司令は小倉に赴任されて1年余ですが、小倉駐屯地や北九州の印象はいかがでしょうか。

淺田:駐屯地の印象は、第1は元気があるということ、第2に小倉は一線部隊なので若い隊員が多いこと、第3は地域に溶け込んでいることです。北九州の印象は交通の便も良いですし、買い物もできますし、大変住みやすいと実感しています。

森:それでは、小倉駐屯地の役割を教えてください。

淺田:今年で61周年を迎える普通科連隊で隊員は約1,200名です。分屯地として富野があります。駐屯地の役割としては、40連隊という部隊を担うということと、本州と九州の接際部にありますので、大きな部隊の移動時に休憩地点として部隊を受け入れることがあります。担当する地域は北九州市と京築地方、遠賀地方になります。日頃の訓練は隊員個人のレベルを上げるものは駐屯地内で行いますが、部隊単位としての訓練は大分県の十文字原や日出生台、熊本県の大矢野原、佐賀県の大野原の各演習場までまいります。


【災害派遣活動について】

森:災害発生時には自衛隊をはじめ警察・消防・自治体など多くの皆様が出動されますが、なかでも自衛隊の果たす役割はとても大きいと思います。災害発生時の自衛隊の役割について教えてください。

淺田:警察・消防・行政機関のバックアップになるというか、足りない部分を補完する技術と人員を集めないといけないと考えています。自治体から声を掛けていただいている防災訓練には受け持ち区域の部隊を送る努力をしています。こうした活動を通じて情報交換をしたり、顔が見える関係を築いたりしています。

森:今夏の九州北部豪雨の時は淺田司令も行かれたとのことです。どのような活動をされたのでしょうか。

淺田:7月5日から約3週間、東峰村に100名、朝倉市に150名を派遣し、東峰村と朝倉市の赤谷川下流、杷木古賀地区で行方不明の方の捜索を行いました。大変深刻な状況でした。7月5日に線状降雨帯が発生したのですが、実は3日の時点では40連隊にある第3中隊が長崎県で、第4中隊が大分県でそれぞれ訓練しており、非常呼集がかかりましたが、そこから派遣準備に入り250名を派遣しました。他方5日には北九州市内も大雨となり、八幡東区などで土砂崩れが発生したり、小倉南区の竹馬川や小倉北区の板櫃川などで氾濫危険水域を超える状態になったりして、北九州市も危険な状態になり、その結果、7月7日が一番厳しかったのですが、東峰村や朝倉市と、北九州市の二正面作戦を取ることになりました。

森:最近は毎年大きな自然災害が各地で発生しています。そうした災害発生時には自衛隊員の皆様が被災地に掛けつけ、人命救助や復旧活動に尽力いただきます。この場をお借りして心から感謝申し上げます。


【北朝鮮問題について一言】

森:北朝鮮のミサイル発射や核実験強行など危機が顕在化し、緊張感が高まっていますが、淺田司令をはじめ小倉駐屯地の皆様におかれましては日頃の鍛錬の成果を十分に発揮されて我が国と国民をしっかり守っていただきますようお願い申し上げ、また皆様の活動に心から敬意と感謝を申し上げ、対談を閉じます。