森: 今回は北九州フィルムコミッション(KFC)の上田秀栄さんとの対談です。所属は市民文化スポーツ局文化部文化企画課内になります。はじめにKFCのスタートについて教えてください。

上田: 1989年に市の広報室にイメージアップ班というラインができました。当時、北海道東北開発公庫が政令指定都市のアンケートを行い、医療とか教育とか「生活環境」では北九州市は1番、でも「都市イメージ」は最下位という結果でした。実質とイメージでは大きな開きがあるということです。だからイメージを上げるしかないということで、どうすればイメージアップにつながるかを考えた時に「北九州を見てもらおう」「いろんな方に知ってもらおう」ということになり、何よりテレビ業界の方に知っていただこうということになって情報番組、旅番組、何でもいいので取材してください、と東京を飛び回っていたのが始まりです。

森: その当時、今のKFCの成功は予想できましたか。

上田: ここまでの成功は想像できなかったのでは。当時大きな映画のロケでエキストラの方が多く必要な時、KFCも始まったばかりですし、市民の皆様の認知もありませんから、自分の知り合いに「明日、映画に参加してもらえないか」と片っ端から電話したり、新聞広告を出したりしたこともありました。それが今は7千名の方がエキストラ登録をしていただいています。「こういう作品で、こういう役柄があります」と連絡すると、何千人もの人が集まって下さる力強いチームになっていますし、今回の「相棒劇場版Ⅳ」の撮影では3千名のボランティアの方にご協力いただきました。

森: 私も2月議会で「映画の街・北九州」を取り上げました。文化庁の「文化プログラム」という事業があり、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに合わせて日本各地の魅力を海外の皆様に広く伝える機会があります。「映画の街・北九州」は地域にも根を下ろし、また映画は世界中の皆様が体験している娯楽ですから、海外の皆様に北九州の街の魅力をご紹介する時にも大変有効は手段の1つではないかと思い提案させていただきました。

上田: 「映画の街・北九州」は市民の方々にもご理解をいただきやすいテーマですし、我々KFCが誘致しているというより、市民の皆様が映画を誘致している感すらあります。また映画スターの方が「松永文庫」や「小倉昭和館」を訪ねて大変喜ばれる姿を見ると、あらためて北九州は凄いなと思います。

森: 最後に今後KFCがやりたいことを教えてください。

上田: 30年近く我々は主に国内作品を中心に誘致してきました。私は北九州市民の皆様の映画を想う気持ちは国境を超えるものと思い、2年前からはタイをはじめアジアの作品の誘致に取り組み、2016年度は国内作品よりも海外作品の方が多くなる見込みです。

森: 海外の評価はいかがですか。

上田: 北九州は海があり、山があり、街も撮れる。明治・大正・昭和と全ての時代を撮れる。「北九州に来れば日本の全てが撮れる」とお伝えしています。はじめは疑心暗鬼なのですが、実際に北九州に来てみると本当に車で30分圏内に揃っていることに驚くのですね。

森: ありがとうございます。「映画の街・北九州」や北九州フィルムコミッション(KFC)をこれからも応援していきたいと思います。