森: 北九州空港は今年3月、開港から10周年という節目の年を迎えました。北九州空港について率直な感想をお聞かせください。
片山: 旧北九州空港と比べると利用者は4倍となり、大幅に増加しているのですが、期待値に比べると随分と少ない、皆様からはもう少し頑張ってほしいとの声をいただいています。私たちは、24時間利用可能、騒音問題もない、とても良い空港を造ったので皆様に使っていただけるだろうという思いがありました。ところが、マーケットの方から見ると、他空港より安くて便利と実感していただけないと使ってもらえないということが、ようやくわかりました。私たちは提供者側の考え方で、とても良い空港を造ったので誰でも使ってくれるだろうと思っていました。しかし、地元の皆様には使っていただいているのですが、それ以外の方は便利な福岡空港を利用されている。利用者を増やすには、福岡空港ではできない早朝深夜便の充実や24時間対応のレンタカーサービス、また福岡空港にない路線の誘致などが重要です。そういうことがわかった10年間だったということではないでしょうか。
森: 現在、北九州空港に乗り入れている旅客便の路線や便数、利用者数について教えて下さい。
片山: 東京便はスターフライヤーが1日11往復、JALが1日5往復で1日16往復飛んでいます。次に名古屋便はFDAが1日2往復飛んでいます。昨年の年間利用者数は131万7千人で、2013年度に次ぐ10年間で2番目の多さ、国内線に限れば過去最高になります。
森: 昨年は200便ほどチャーター便が飛んだとのこと。定期便就航までは至っていませんが、チャーター便も北九州空港が持つ潜在力に航空会社や利用者の皆様が気付いていただく入り口として有効だったのではないでしょうか。
片山: チャーター便は意味があったと思います。なぜかと言うと、アジアの皆様は、北九州と言ってもなかなかご存じないので、一度ここに来ていただいて、北九州の近くに福岡や大分があると知っていただいたという意味で良かったと思います。
森: 5年後の東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向けて、日本を訪れる訪日外国人の方が増えると思いますが、この期間に、北九州空港として何を行うべきか教えてください。
片山: インバウンドのお客様が物凄い勢いで伸びているのはその通りです。しかし、福岡空港については満杯でなかなか降りられない、これをもう少し分かりやすく言うと、福岡空港の年間利用客は2000万人ではなく、実際の需要は3000万人ではないかという話があります。ところが、福岡空港は満杯で降りられない。では、この方たちはどこに行っているかと言うと、大阪であったり、札幌であったりという話です。これは物凄くチャンスを逃していると言うことに福岡の皆様も気付かれた。増え続けるインバウンド客をしっかり受け止めるため、福岡県とも協力して成長著しいLCCの受け入れ準備が大切と考えています。
森: これまで同様に、我が街北九州の活性化のために、ご活躍いただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。