森: 今回は小倉南区沼緑町にある、あけぼの愛育保育園の北野久美園長に話を伺います。園の運営でこだわっていることを教えて下さい。
北野: 園名をあけぼの愛育保育園としたのは法人名が愛育会だったからなのですが、この漢字から「愛しみ(いつくしみ)」、「育み(はぐくみ)」、そして「和み(なごみ)」という3つを園のスローガンにしました。育むというのは、親鳥が羽根で小鳥を包み込む、そういうなかで過ごしたい、おうちの少し大きいものという感じです。
北野: 安全にもこだわりました。私が現場の保育士出身なので、細部に渡って子どもの安全という点だけでなく、保育士の動線も考えました。1年目は新しい職員も入り、建物も新しくなり、緊張感も高かったのですが、お蔭様で1年目、1件も病院に行くような怪我をしていません。これは私の誇りです。子どもと保育士の動線を考えて建てた建物だからということと、少人数で過ごすということが集中する時間を生んだからではないかと思います。
北野: もう1つは、少人数なので異年齢保育なのです。0歳・1歳・2歳は分けているのですが、3歳・4歳・5歳の生活は同じクラスです。食事などの生活面は3歳・4歳・5歳を一緒にしていますので、育ち合いというか、3歳児は5歳児をモデルにするし、5歳児は家庭では1人っ子であってもお兄ちゃん、お姉ちゃんぶろうとしています。
森: 日頃から努力と工夫を重ねて北九州市の保育の質を高めていただいている皆様の取り組みに、心から感謝申し上げます。ところで北野先生は、ご自身の園の運営のかたわら、北九州市保育士会の会長も長年されていらっしゃいます。保育に携わる皆様の声を教えて下さい。
北野: 本来、保育という営みは養護と教育を一体としており、その人の一生に関わる、慈しむ、育む大切な仕事なのですが、多くの方に正しく理解されていないのではないでしょうか。遊びのなかで触れ合っていても、これは人間関係の基になりますよとか、読んでいるのはつなぎだけじゃないよ、言葉とか、イメージする力が育つんだよとか、保育のことを正しく分かってほしいと思い、さまざまな活動を続けています。こういう声が民のなかから上がれば、保育士の処遇改善にもつながるのではないでしょうか。あと保育士の発掘とか、離職防止も。離職防止は折れかけた心のバンドエイドになれるようにとがんばっています。
森: 先生は保育を通じてたくさんの子どもたちに関わっていますが、最後に保護者の皆様や子どもたちへのメッセージをお願いします。
北野: 保護者さんに向けては、私たちは本当に子育て応援団なんです!ということですね。親御さんたちに取って代わることはできませんが、昼間の子どもたちの様子を一番見ているのは私たちですから、保護者の皆様と共通の想いで子育てをしたいと思います。子どもたちには、あなたたちのことを愛しています!と言いたいです。その愛情を私たちも持っているし、あなたたち自身の自己肯定感、自分を愛してほしいので、その愛情のシャワーはしっかりかけていきたいと思います。もっとも、子どもたちから先生大好きとか言われると私たちへのお返しの方が多いのですけど(笑)
森: 北九州市は「子育て日本一を実感できるまちづくり」を目指しています。市役所と連携を深めながら、子どもたちを育む仕組みや雰囲気を作りたいと思います。本日は本当にありがとうございました。