森: 北九州モノレールは今年1月9日、開業30周年の節目の年を迎えられたということで、この辺りからお話を伺いたいと思います。
斉藤: 我々が30年間、どういう役割を果たしてきたか、社員全員で確認をしました。そのなかで、我々の誇りは、まず、30年間、人身事故ゼロというものがあります。それと正確運行。台風とか大雨があっても極力正確に運行してきました。さらに沿線の人口増に貢献できたのではないか。そのことをあらためて地域の方々にお伝えしていうことを30周年のメインテーマとしています。
森: 私も市議会の3月議会で、この間のモノレール開業による人口増や民間投資の増加など、社会的、経済的効果について質問しました。それによると、沿線人口は、企救丘・守恒・徳力の各校区を合わせた人口で比較すると、開業した1985年は約2万人余だったものが、2010年には約3万6千人へ1.8倍に増加しています。この数字の伸びは、同じ期間の小倉南区平均の1.1倍や全市平均の0.9倍を大きく上回っているそうです。
森: 次に、今年取り組まれる開業30周年の記念事業について教えてください。
斉藤: 1つは今までを振り返るということで、30年前の各駅周辺の写真と現在の写真を比べて、どういう風に変わっていったか、写真展を各駅で行っています。また、4月以降ですが、30年前の列車、列車そのものは変わっていないのですが、車体の色や座席などが変わっていますので、開業時のオリジナルカラーの塗装とシートを復刻させることを考えています。安全・正確に運行してきたというのは、技術陣がしっかりやってきたという証でもありますので、そういうところも見ていただくということで、これまで行っていた子ども向けのツアーに加えて、大人向けに少しマニアックにバックヤードツアーを行うことを検討しています。あと、一時中断していたのですが、30周年を地域と一緒に祝いたいということで、7月に記念ビール列車の運行などを考えています。
森: 利便性の向上という面では何か取り組みがございますか。
斉藤: 1つは我々の今後の方向性を示すということで、もっと駅舎を楽しく、皆様が集ってくれるような場所にしたいと思っています。具体的には、平和通駅は少しスペースもありますので、皆さんの憩いの場や待ち合わせの場などにできるよう考えております。もう1つは今年10月、JR九州さんと一緒にICカード乗車券を発行します。より乗りやすく、快適になるかと思います。愛称は公募で「mono SUGOCA(モノスゴカ)」と決まりました。
森: いろいろ本当に楽しみですね。最後に、モノレール沿線の活性化について教えてください。
斉藤: 例えば、北九州市立大学さんとか競馬場さんとかURさんとかが沿線ありますので、そういう施設や団体などと連携を深めていきたいと思います。また、先日、皆さんが行われたダインアウトのような、地域のにぎわいづくりの事業と一緒になって沿線の活性化にも取り組みたいと思っています。そういうことを通じて需要を増やしていくことにつながると思います。
森: 地域とともにという視点は重要なキーワードだと思います。これからも安全、正確、快適という3本柱を大切にし、沿線の活性化の大きな担い手としてモノレールにはご活躍いただきたいと思います。