森: 嶋さんは衆議院議員を3期務められた後、ソフトバンクに入社し、孫正義社長の参謀として活躍中です。嶋さんからご覧になった孫さんの印象を教えてください。

嶋: 孫は仕事大好きです。1日10数時間は働いています。私も社長室長時代は、毎朝7時には会社に来ていました。夜も世界とやりしますので、夜10時位に孫からのメールを受けて深夜1時位までに手配するような感じです。昼も夜も会議をしながら食べています。

森: 「10年以内にドコモを超える(2006年ボーダフォン日本法人買収)」など、孫社長は周囲を驚かす大胆発言をされますが、嶋さんはこうした発言をどのように受け止めていましたか。

嶋: 外に発表する時は考え抜いています。昔はパソコンの時代でしたけれど、その前は大型コンピュータの時代でした。しかし、いずれはパソコンではなくてiPhoneになるという風に孫には見えていたのです。孫だけは売れるという確信をもっていました。まるでタイムマシンでそこに行って見てきたように語る。それがビジョンになる訳です。周りはそれを見てないから、みんな分からない。また、言っているなあと思うのですけど、後で考えるとそういうことが多かったですね。

森: 今回のテーマである「大風呂敷経営」について教えてください。

嶋: 大風呂敷とは、実現不可能と思う高い目標を掲げることを意味しています。その成功条件としては3つあります。1つ目は大風呂敷な目標を設定することです。先ほどタイムマシンの話をしたように、目標はリアルに描かないといけません。2つ目は足し算ではなく、逆算方式で行動することです。3つ目はナンバー1をとること。短期であれ、何であれナンバー1になることです。

森: 日々の生活や仕事だけでも大変ななか、大風呂敷な目標を掲げるということが、なかなか難しいのではないかと思いますが、コツがあれば、教えていただけますか。

嶋: 歴史の年表がありますね。年表は過去のことが書いていますけど、自分で、自分の仕事でもいいです、未来年表を作ってみると良いかと思います。30年位の。未来にこんなことができるということを思い描くと楽しくなります。ワクワクしてくる。あと個人的には、私は朝、日記を書いています。将来の明るい未来を思い描いています。

森: エネルギー政策について。現在原発が止まっていますが、再稼働に向けた動きがあります。未来のエネルギー政策について伺います。

嶋: 「アジア・スーパー・グリッド構想」と言う大風呂敷があります。アジア各国を結び、エネルギーを相互に融通する、グリッドとは送電線という意味です。モンゴルのゴビ砂漠で風力発電をやって、それを日本に持ってくる構想です。今、ルート調査をやっています。釜山と北九州を海底送電線で結んで、それでモンゴルから持ってこようと。その時にはまた森さんにご相談にまいりますので、よろしくお願いします。

森: 承りました。目の前の現実に対応するだけではなく、大きな目標を描き、それを実現するために何をすべきか、長期的・多面的・根本的にモノを考えることの重要性をあらためて考える機会となりました。本日はありがとうございました。