森: 今回は徳力小学校の小笠原有子校長先生にお話しを伺います。私も入学式に参加しましたが、校長先生が「いきいき」「にこにこ」「もりもり」と大きく書かれたプレートを手に持って子どもたちにお話されていたのが印象的でした。この合言葉はどういう意味なのでしょうか。
小笠原: 本校のキャッチフレーズは「いきいき にこにこ もりもり」です。「いきいき学ぶ子ども」「にこにこ過ごす子ども」「もりもり元気な体を作る子ども」を目指して取り組んでいます。2代前の堀校長先生の時に、教育目標を子どもたちに分かりやすく伝えるために考えられ、受け継がれています。始業式や入学式でも取り上げましたが、これから色んな場面で、年間を通じて子どもたちに伝えていきたいです。
森: 徳力小学校に赴任されて、この地域の良さや特徴をどのようにお感じでしょうか。
小笠原: 良い意味で、とても素朴で田舎だなあと思いました。子どもたちが地域にしっかりと見守られて過ごしているということと、いろんな便利な施設があるのですが、ところどころに田んぼや畑があって、公園もたくさんあって、子どもたちが伸び伸び遊ぶ環境にあると思います。それと地域の方も本当に良く挨拶をされると思います。地域みんなで子どもたちを見ていこうという、地域のつながりを感じました。
森: 徳・知・体と3つありますが、ここでは道徳について伺いたいと思います。私自身は、テキストで教えたり、教えられたりという以上に、大人が、学校のなかで大人というと先生ですが、家であれば親、保護者ですが、大人たちの言動というか、立居振舞だったり、先生の後ろ姿だったり、そういうもので、伝えられることもたくさんあると思うのですが、いかがお考えですか。
小笠原: そうですね、私たちは子どもたちを預かる責任ある大人の1人として教育活動を行っています。授業が一番ですが、そのなかで自分たちが伝えていくこと、普段から子どもたちと過ごしていく中で子どもたちが感じ取っていくこともたくさんあると思います。それだけに、人権感覚を磨く研修や道徳性を高めるような、私たち自身を磨く取り組みが欠かせないと思っています。
森: 少し個人的なことを尋ねます。小笠原校長先生は、子どもの時でも教員時代でも、影響を受けた先生や体験などはございますか。
小笠原: いろんな良い先生に巡り合ったのですが、1番は小学校1年生の時の片桐章男先生です。とても優しい先生でした。心細い時や失敗した時があるじゃないですか、あの頃ですね、牛乳パックではなく、ミルクだったんですよ。重くて、給食当番の時に私、転んでミルクが廊下にブウァーって広がって、私もミルク漬けになって悲しくて泣いていたのですね。転んだまま泣いていたら、片桐先生が起こしてくれて、「大丈夫だよ、大丈夫だよ」って優しく声を掛けてくれて、「泣かなくていいから」と言われたんですよ。子どもが本当に困っている時に寄り添ってくれた素敵な先生でした。
森: 良いエピソードを聴かせていただきました。ますます徳力小学校が好きになりました。ありがとうございます。これからも地域の大人として応援させていただきます。