森: 右京さんは1992年から6年間、F1の世界で走り続けましたが、コックピットの中の状態はどうだったのか教えてください。
片山: モータースポーツでも他のスポーツでも一番大切なことは集中力で、それがあるといいレースが出来るんです。本当に集中すると、まず音が消えて、もっと集中すると景色がスローモーションになるんです。人間というのは、そういう集中力を持っているんですが、僕のなかではそれが1つのテーマで、レース道のようなものがあるとしたら、どうやったらそういう世界に入れるのだろうと思ってやってきました。
森: F1引退後は登山家としても挑戦されていますが、これからの登山の目標について教えてください。
片山: 来春(2014年春)にまたエベレストに行こうと思っています。実はこの4年間1度も山に登っていません。皆さんもご存知かと思いますが、セブンサミットで南極をやる前に富士山でトレーニングしていた時に、相棒を亡くしていまして、何ヶ月も家から出られなくて毎日泣いていました。そうしたら、オーバーじゃなくて、段ボール箱で何箱も、またメールで何万通もメッセージをいただいて、やっぱり元気も勇気ももらったし、相棒のためだけではなく、僕はまた頑張んないといけないっていうのがあるので、来春(2014年春)にエベレストに行くつもりで準備しています。
森: これまでは片山右京個人としてチャレンジしていた部分が多いのではないかと思いますが、チーム右京として集団をまとめていくことや引っ張っていくというか、その辺の違いはいかがでしょうか。
片山: 50才を超えて分かることは、どんなに突っ張っても1人で出来ることっていうのは限られたことでしかないということです。自分が生きているのは、そこに誰かのためにという部分が必要で、その想いがつながって1つになればもの凄い力になりますよね。
森: 右京さんは子どもたちを対象にチャレンジスクールを昨年8月にも山田緑地で開催していますが、そういう機会を通じて子どもたちに伝えたいことは何ですか。
片山: 山田緑地でやったのは、サーキットトライアルといって、富士スピードウェイの21分の1を書いたのですが、それを何回かに分けて走ります。大事なことは、結果を恐れるなってハッパをかけるのですが、それによってタイムが100%全員タイムが上がるんですね。そういう小さな成功体験を子どもの時から積み重ねると、エベレストなんか歩きゃ着くよとか、F1とか練習すれば乗れるとか、国語だって一緒、英語だって一緒、全部やればできるっていうことをスクールでは伝えています。
森: いいですね。私も応援いただいている方からこれだけの力を与えていただいていますから、自分の街のために、この北九州のためにもっとやっていきたいと、今日の話を聞きながら、あらためて感じました。
片山: 本当に誰かがそういうことを代表してやらないと、困っている人は一杯いるので、そういう人を助ける仕組みを作るという仕事を政治に関わる人たちが頑張ってもらわないといけないので、そこら辺は僕も含めて応援していきたいと思います。